ホットケーキとは小麦粉とバターと卵、そして牛乳をベースとした焼き菓子の一種である。
日本では「ホットケーキミックス」を使うのが一般的ではあるが、そのレシピは非常に簡単であり、各家庭でオリジナルの味を引き出すのも容易である。
だが同時に、シンプルであるがゆえの奥深さも内包する、小麦焼き菓子の究極と言っても過言でない要素をあわせもつ。
このサイトではシンプルに誰でも楽しめる焼き方から、ホットケーキ探求者向けのエッセンスまで、より広く、より深く追求していこうと思う。
ホットケーキと聞くと、すぐに思い浮かべるのはほぼ同様のレシピでできる「パンケーキ」ではないだろうか。
「ホットケーキ」と「パンケーキ」。確かに材料はほぼ同じであるが、その本質は全くと言って良いほど異なる。
ここではその差異と、その違いからくる楽しみ方についても簡単に触れてみようと思う。
ホットケーキとパンケーキの違いは主に以下の要素である。
まずはレシピに若干の違いがある。詳しくは「基本のレシピ」で触れることとするが、「牛乳」と「卵」の配分が異なる。逆に言えば、違いはそこだけである。
厚さに関しては明確な基準はないものの、このサイトでは以下のように規定したい。
上記のように材料の配分が異なることからくる生地の柔らかさにより、その焼き上がりの厚さが異なってくる。その結果、厚みだけに留まらないホットケーキの奥深さが生まれるのである。
楽しみ方の最も大きな違いは「メインディッシュ」か「付け合せ」かの違いが最も大きいところだろう。もちろんホットケーキはメインディッシュであり、パンケーキはしょせん他のメインの食材に対する付け合せでしかない。
その証拠に、パンケーキはそのほとんど全てにおいて「トッピング」を必要とする。イチゴやバナナのフルーツ類にはじまり、チョコレート、生クリーム等、なんらかの味わい要素を加味しないと楽しめない、言わば「ベース」にしか過ぎないのである。
ところがである。同じ材料から生まれるホットケーキは、その「厚み」により「表面」と「内面」という2つの美味要素が生まれる。そのため、ホットケーキ単体で十分に「エンターテイメント」が成立し、故に付け合せに頼らない独立した存在でいられるのだ。もちろんホットケーキにも「バター」「メイプルシロップ」というトッピングがあるが、これはあくまで「ホットケーキのためのトッピング」であり、パンケーキのそれとは根本的に違うのは言うまでもない。
ホットケーキとパンケーキの基本的なレシピは以下となる。
材料 | 分量 |
---|---|
薄力粉 | 90g |
ベーキングパウダー | 小さじ1 |
砂糖 | 大さじ1 |
塩 | 小さじ1/4 |
バター | 大さじ1 |
卵 | 1個 |
牛乳 | 70cc |
材料 | 分量 |
---|---|
薄力粉 | 90g |
ベーキングパウダー | 小さじ1 |
砂糖 | 大さじ1 |
塩 | 小さじ1/4 |
バター | 大さじ1 |
卵 | 1/2個 |
牛乳 | 90cc |
ホットケーキならびにパンケーキの基本のレシピは上記の通りとてもシンプルである。
しかもホットケーキとパンケーキの違いは、たったこれだけである。
ホットケーキ | パンケーキ | |
---|---|---|
卵 | 1個 | 1/2個 |
牛乳 | 70cc | 90cc |
この通り、卵と牛乳の量を調整して生地の柔らかさを変えるだけでホットケーキとパンケーキが作り分けられる。生地が柔らかいとフライパンの上で薄く広がるため、その結果焼き上がりの厚さも変わってくるのである。
では極厚のホットケーキのレシピは?といと、カンの良い方はすでにお分かりの通り、卵を増やして牛乳を減らすのである。
おおよそ3cm以上のホットケーキを目指すのであれば「卵1と1/2個」「牛乳40cc」を目処に、各自の焼きスキルに応じて調整するのがいいだろう。
市販のホットケーキミックスを利用する際には、説明書にある通りの分量にすれば、おおよそ2cmの厚さに焼き上がるはずだ。
ホットケーキを作るのに必要なのは、どの家庭でも一般的にある道具だけで十分であり、しかも専用の道具が無ければ「箸」や「お皿」で十分に代用できる。構えることなく気軽に焼き始めよう。
もちろん生地をかき混ぜるために必要であるが、ここで重要なのはその大きさである。大家族でもない限り20cm以下のボウルが使いやすいであろう。
焼き上がりの厚さに最新の注意を払うのでなければ、実はレシピはかなり適当で大丈夫であるので、軽量スプーンでなく、一般的なスプーンでも代用可能。
ホットケーキミックスのパッケージにあるような、均一で滑らかな焼き上がりを期待するのであれば、粉ふるい(もしくはざる)による粉の分離は必須である。ちょっと洗うのがめんどくさいけど、美しいホットケーキを焼くために、是非とも導入してほしい。
材料を混ぜる際に使う泡だて器。無ければ菜箸等でも代用可能であるが、「ふんわり、さっくり」焼くためには混ぜすぎは厳禁。そのため、大き目の泡だて器で材料が軽く混ざる程度に手早く混ぜたいところ。パンケーキを硬めに焼きたいときは、逆に必死になってかき混ぜるのも良い。
ホットケーキミックスのパッケージにあるような美しい焼き色のホットケーキを作るのに特別な道具はまったく必要ない。一般的なフライパンで十分焼けるのである。ただし、フラットな焼き上がり(模様が付かない)を目指すのであればフッ素コーティングされたフライパンを利用しよう。フッ素コーティングしてあるフライパンであれば、油は不要だ。ホットケーキ表面の模様(トラ柄、同心円状)は油によって構成されるのである。なお鉄製のフライパンの場合、油が必須となるのでフラットな焼き上がりは無理と心得よう。
なお完璧な焼き上がりを目指す際の裏技として「フライパン2枚使い」がある。焼いているフライパンとは別に、適温に設定したフライパンを用意し、フライ返しでひっくり返すのではなく、フライパンを蓋のように重ねひっくり返すのである。だが、かなりのテクニックを要するので素人にはお勧めできない。(慣れてくるとフライ返しでも十分完璧を目指せるしね)
トラ柄のホットケーキを作る際には油を使うが、それを厚く全体的にフライパンにひくために使うのがシリコンブラシである。同心円状の模様を作る際には油を薄く引く必要があるため、この場合はキッチンペーパーに油を含ませフライパン全体に塗りつけるように行うといいだろう。
ホットケーキを両面ともに滑らかに焼き上げるのは、正直言ってとてもハードルが高い。しかしフライ返しにこだわることにより、かなり手軽に焼けるようになる。ポイントは「フッ素コーティングされた」「先端が薄く」「面積が広い」フライ返しを選ぶこと。しかしながらフライパン(あるいは目的とするホットケーキの大きさ)により大きすぎても難があるため、まずは家庭にあるフライ返しを使ってみて、ひっくり返す際にホットケーキがめくれてしまうようであれば、徐々に大きくしていこう。
ひとくちに「ホットケーキ」と言っても、実は多種多様な形態があるのをご存知だろうか。ここでは代表的な種別をピックアップしていこうと思う。
それぞれの種別を組み合わせると、あなたの目指す愛すべきホットケーキの形が見えてくるのではないだろうか。
なお極厚ホットケーキは「青山系」、いわゆるホットケーキは「神田系」、パンケーキは「アメリカ系」と呼ばれている。その由来についても機会を見てお伝えしようと思う。
なお極厚ホットケーキを作るには2種類の方法がある。1つは生地を硬めに作り、じっくりと焼き上げる方法と、もうひとつは型を使う方法だ。型を使ったほうがもちろん簡単ではあるが、板橋区大山にある「ピノキオ」を代表とする、型を使わずに4cm以上に焼き上げる芸術作品を目指したいものである。
フラットな表面は油を使わずフッ素コーティングのフライパンで焼く。その際の温度が高いほど「濃い焼き色」となり、温度が低いと生地そのものの色に近い「薄い焼き色」となる。
また模様をつけるには油を引く必要があり、多めの油をシリコンブラシで広げるとトラ柄に、少なめの油をキッチンペーパーで薄く延ばすと同心円柄になる。その際、熱せられた油によって表面がカリッとしやすくなるため、フラットな場合に比べて火は弱めにすることに注意したい。
なおホットケーキミックスのパッケージにあるようなフラットな焼き上がりを実現するには、フッ素コーティングのフライパンを用いるだけでは駄目で、さらに高度なテクニックが必要となる。それが「フライパン回し」である。一度空焼きしてその後濡れたフキンに押し当てる、というテクニックはホットケーキミックスにも記載されているが、それだけでは不十分。生地を投入後は「すぐに」「ひたすら」ガスレンジの五徳の上を「全体に均一に火があたるように」回し続けることが必要なのである。「めんどくさい」「難しそう」。確かにその通りではあるが、一度是非チャレンジしていただきたい。きっと驚きの焼き上がりと食感に、今後の鍛錬を誓うことだろう。
食感を左右するのは、実は火加減である。濃い焼き色はカリッとし、薄い焼き色はふんわりと焼きあがるが、濃い色は高い温度で、薄い色は低い温度で焼き上げるのである。最高のホットケーキの基準となる「表面はカリッと、中はふんわりと」は、実は焼き始めと焼き終わりの火加減を徐々にコントロールすることにより実現可能なのだ。最初は中火で、徐々に弱火に、そしてひっくり返した後に中火に戻すというまさに芸術と呼ぶにふさわしい高等テクニック。
是非ともあなた好みの食感を求め、日々の鍛錬を行っていただきたいところである。
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