2006年09月17日

和菓子日和

以前に仕事で、都内の和菓子店を20件ほど食べ歩いたことがある。
その際思ったのは、「和菓子って旨い」。

そんな旨い和菓子の中でも、特に印象に残った3軒。

一幸庵(茗荷谷)
塩野(赤坂)
ちもと(都立大学)

それぞれ、絶品とも言える名物があるのだが、今回はその3品を追い求めて「1日3軒和菓子の旅」に出てみた。

■1軒目:一幸庵

合計40品以上の食べ歩きの中、最も印象に残ったのがここ「一幸庵」の「わらび餅」だ。
東京メトロ丸の内線の中でも1・2を争うマイナー駅、茗荷谷。昭和、いや大正の雰囲気も残したこの街の、大通りから一筋入ったところにこじんまりと佇むのが、ここ一幸庵。
その一幸庵を一躍有名にしたと言っても過言でないのが、今回の目的の1品目「わらび餅」。そのふんわりとした食感、あんこの旨みと甘さ。このわらび餅を食べずして、わらび餅を語るな!と言いたくなるほどの絶品は、まさに和菓子の旅のスタートにうってつけだ。

…うってつけなのだが。

なんと、この季節、わらび餅の製造はしていないとのこと…まったくもってリサーチ不足。
しかも午後2時の来店では、練り切りも1品しか残っていない。
自分の見通しの甘さに唇を噛みながらも、せっかく訪れた一幸庵。その菓子を食わずして帰るわけにはいかない。残り1品の練り切りを1つだけ買い求め、女将さんのご好意で店内で食べさせてもらう。
旨い。
わらび餅でなくても、やはりその餡の旨さは違わず。
「くず」の、柔らかなれど腰のある食感と餡とのコラボレーション。そのゆったりとした口あたりに加わる「ゆりの根」のしゃっきり感。
わらび餅を食べられなかった悔しさをも忘れさせる、幸先の良い1品目となった。

なお、ここ一幸庵には、わらび餅とならんで有名な一品があるのだが、それはまた今度ご紹介としよう。


■2軒目:塩野

一幸庵の練り切りも旨いのだが、食べ歩きの中で最も旨い練り切りと印象に残ったのが、ここ「塩野」。
個人的に「和菓子は餡、餡は砂糖」と思っているのだが、その考えに至ったのも、ここ塩野の練り切りを食べたのがきっかけ。和菓子の命題でもある甘さ。その甘さを過剰にアピールするでもなく、しかし自己主張は守り通すといった強いメッセージは、数十個の練り切りを食べた後でも、しっかりと記憶に残っている。

さて、そんな塩野の練り切り。2年ぶりのメッセージはいかに。

店内で食すことができなかったため、近所の神社の境内で食すことに。
意外なほどの賑わいを見せる境内のベンチに腰をすえ、期待と不安を胸に包み紙を開ける。
するとどうだろう。
店内の照明の下で見たその色とは、明らかに違う鮮やかな彩。
野点などという高尚なことを経験したことはないが、きっと野点とは、この鮮やかな和菓子を愛でるためにあるのではないかと思うほど。餡も皮も、その透き通るような質感にしばしうっとり。
もちろんその味も、以前の印象を受け継ぐ凛とした高貴な味わい。
食べ物も人も、その個性をしっかりと伝えることが重要なのだと再確認。
嬉しくなって3つほど一気にいただき、心も腹も満足で神社を後にした。


■3軒目:ちもと

さて、1軒目・2軒目と、正統派の和菓子とも言える「練り切り」を食した。
いくら旨いと言えども、同じものだけ食べていては食傷気味になるのは仕方なし。
そこで、ちょっと趣を変え「餅」に手を出してみよう。

ところで。

知っている人は知っているが、実はボクは「餅」が大嫌い。
正月だってひとつも食べない。
が、そんなボクですら、ここちもとの名物「八雲餅」は好んで食べる。
そう、本当に好んで食べる。
まぁ、食卓に上る餅とは異なる求肥ではあるのだが。

その八雲餅であるが、柔らかな牛皮の中にカシューナッツが入っている。
和菓子にカシューナッツである。
初めて食べたときの驚きは想像に難くないであろう。
が、その組み合わせが旨い。食感のコントラストと味わいのコントラスト。この2つのコントラストが渾然一体となって口の中に広がる。
旨い。
まぁお茶が必須になるのはやむないが。

そんなこんなで和菓子の旅は終了。実に満足であった。

え?あ、あれ?そういえばこのブログってダイエットだった?
久しぶりのエントリーがこんなんで大丈夫?

心配無用。ダイエットは何も進んでません。
今日から心機一転、改めてチャレンジのココロ。

posted by おれんじまん at : 23:34

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